歯周病治療 periodontics


歯周病とは

歯に付着したプラークによって引き起こされるある種の感染症で、歯周組織に炎症や破壊を引き起こす病気です。歯周病はサイレントディジーズと呼ばれ、痛みなどの自覚症状がないまま進行することが多く、気づいた時にはある程度進行してしまっている場合があります。
重度に進行してしまった場合には、治療も複雑となり、抜歯しか治療の手立てがない場合もあります。そのため、早期発見・早期治療が大切です。

歯周病の主な原因はプラークです。

プラークとは歯に付着している白、または黄白色の粘着性の沈着物で、非常に多くの細菌とその産生物から構成されています。

歯周病の分類

歯肉炎
歯肉に炎症がみられるが、歯周組織の破壊を伴わないもの(歯肉に発赤や腫れがみられるが、骨は吸収していない)

歯周炎
歯肉の炎症に加え、歯周組織に破壊が起こっているもの(骨の吸収が起こっている、歯周ポケットが形成される)


健康
歯肉炎
歯周炎(軽度~中等度)
歯周炎(重度)

歯周病の検査

  • 歯周ポケットの深さを測定
  • レントゲン検査
  • 歯の揺れ具合
  • 歯肉からの出血の有無

(歯周ポケットの深さの測定やレントゲン撮影によりどこまで進行しているか、感染が及んでいるかを把握します。)


歯周病の治療

歯から感染を除去すること(=プラークや歯石を取り除くこと)が主体となります。

●ブラッシング

歯周病の原因であるプラークを毎日のブラッシングによりしっかり取り除くことが必要です。歯周病の進行程度によって歯間ブラシやタフトブラシの使用も有効です。治療が進むにつれ、歯間ブラシのサイズ等清掃方法も変わってきますので、来院のたびにブラッシングを確認します。

●スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

歯周基本治療として歯の表面(見えているところ)や歯根面(歯周ポケットの中)に付着している歯石やプラークを専用の器具を用いて除去します。

●歯周外科手術

歯周基本治療後の再検査で深い歯周ポケットが残存し、歯肉からの出血がある場合はさらなる感染の除去を目的に歯周外科手術が検討されます。
麻酔下に歯肉を開け、根面を見える状態にして、根面に付着した歯石、プラークを除去します。

●歯周組織再生療法(エムドゲイン療法)

歯周外科手術のひとつです。手術時、根面の感染を除去した後に、根面にエムドゲインと呼ばれる歯周組織再生材料を塗布し失われた歯周組織を再生させる術式です。エムドゲインは歯周組織の発生時に分泌されるタンパクで、歯周病の進行した歯根面に塗布することにより発生時と同じ機序で歯周組織を再生させる方法です。


歯肉炎の場合

患者さん自身のブラッシングや術者が行うクリーニングによって歯の表面に付着したプラークや歯石を機械的に取り除くことにより健康を取り戻すことができます


歯周炎の場合

患者さん自身のブラッシングに加え、術者が歯肉の中の歯根面の感染、プラークや歯石を積極的に除去する必要があります。まず、歯周基本治療として麻酔下にスケーリング・ルートプレーニングを行い、その後歯周外科手術が必要な場合もあります。
感染が除去されれば、炎症のない健康な状態を回復することができます。
一度失われた骨は元の高さには戻らないため、歯肉は炎症が引くと骨の形態に沿って治癒するために歯肉が下がり、歯が長くなったようにみえます。




歯周病治療のステップ